野球のこと

2009年11月19日

昨日は少しGM、ゼネラルマネージャーのことについてお話をしましたが、
今日はその利点についてもう少し詳しく説明しましょう。
私がヤンキースに留学した1997年はワトソンGMで、
1998年はキャシュマンGMに変わりました。
97年はほとんどマイナーリーグで活動していたために、
ボブワトソンGMとの接点はほとんどありませんでした。
しかし、1998年のほとんどをメジャーリーグに帯同していたので、
キャシュマンGMには大変お世話になりました。
留学の目的に指導者研修だけでなくフロント業務、
とくにゼネラルマネージャー制度について勉強することも含まれていました。
そのため試合中にはヤンキーススタジアムのGMルームで、
キャッシュマンGMからどのような職務内容であり、
どのような職務責任を背負って仕事をしているか、
またチーム作りについての考え方などについていろいろ教えていただきました。
そのGMルームの壁一面には当時98年でしたが、
すでに1年毎に5年後までのスターティングメンバーが張り出されていました。
当然当時のメンバーの中で5年後にも名前が残っていた選手が、
ジーター、ポサダ、ぺティート、リベラら現在も残っている選手達でした。
そしてどうしてもボードが空白で埋まらない部分を、
トレードやFAでの補強と、
ドラフトでの選手獲得と育成の両構えで準備をしていました。
数年先のチーム作りまで具体的に考えているので、
当然ドラフト戦略は明確になります。
何年先のスターティングメンバーのためにどのポジションの選手を獲得し、
そしてどのように育成していくか、
すべては計画的に行なわれていたのです。
1980年代に低迷していたヤンキースは、
資金力物を言わせた寄せ集めチームと揶揄されていました。
しかし、その反省からか90年代には育成型のチームを目指していました。
その中心となっていたのがニューマン副社長兼育成最高責任者でした。
チームマニュアル作りの中心的人物で、
ヤンキースの育成型チーム作りに貢献した功労者です。
そこから育ったのがジーターなどの上記した選手や、
当時はバーニーウィリアムス(センター)など多くの選手が中心的選手となりました。
現在のカノー選手は、
ヤンキース長年の課題であったセカンドで、
リーグ有数の選手になっています。
今年のチームもセンターラインは生え抜きの選手で、
両サイドは補強選手となっていますが、
これも90年代からのチーム作りの考え方の一つです。
これはキャシュマンGMは10年以上、
マークニューマン副社長はもっと長い間同職につきながら、
連携しながらチーム作りをしているので、
これほど安定した成績が残り、
まさしく常勝チームとなっているのだと思います。
チーム作りや育成はフロント主導、
GMが長期的展望の下に監督やコーチの人事から選手契約、
そしてドラフト戦略や育成の中心的存在になっています。
最近のメジャーリーグでは、
GMの長期契約が多くなりましたが、
フィールドマネージャーである監督と違って、
長期展望でのチーム作りには、
長期契約なくして長期計画は作りえないのではと思います。


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この記事へのコメント
白井さん、おはようございます!

昨日、今日とGM制度についていろいろと勉強させていただきました。

野球を外から観戦するファンにとって、なかなかフロントの細かな考え方までは思いを馳せることは難しいのですが、このようにブログから勉強させていただくことによって視点が広がり、野球の見方が多角的になってより興味深く観戦することができるようになります。

なるほど!ファイターズのチームカラー(チーム作りの方針)が守られているのは、このようなことが背景にあるからなのですね!

長期的な展望をしっかりと持ち、チームマニュアルを計画することで常勝ファイターズが作られているのですね。底辺をしっかりと固め、目標を持って前を見据えて行くことは、自分の生活にも必要ですね。私も、しっかりと自分を持って、周りに流されることなく頑張るように努めたいです・・・あれ?反省文になっちやった(笑)

白井さんありがとうございました!またいろいろと野球のこと教えてください!
Posted by マー at 2009年11月19日 11:59
白井さん、こんにちは。

いつもブログを拝見させていただいてます。とても勉強になります!ありがとうございます<(__)>

少し参考になったというか…。

現在の日本ハムがあるのは、やはり大社さんの影響もあるんでしょうか。企業名がいまだに消えない日本野球の本質も、チームのあり方に関係しているような気もします。

ホークスの抱える闇は、未だもって深いです(T_T)WBC関連の晴れの舞台で、ウチの選手だけタキシードを着てないなんて、連絡ミスとは言え、こんな情けない珍事にはさすがに驚きました。

基本的にはやはり、組織というのは、トップがしっかりしていてはじめて正常に機能するものだと思うんです。そういった中でも、出来ることって何があるんでしょう。

一ファンとしては、結局悲しいかな、ひたすら信じて応援するしかないんですよね。。。
Posted by 鷹とも at 2009年11月19日 17:01
ファイターズがGM体制をとっていることは、その野球が他のチームのように監督の名をとった「〇〇野球」ではなく、常に「ファイターズ野球」と呼ばれることに象徴されると思います。監督がだれになっても、その野球は変わらない。

私はアメリカのレッドソックスの地元に数年住んでいたことがあります。2002年のオフに、レッドソックスはテオ・エプスタインをGMとして迎え、「メジャー史上最年少のGM」として大きなニュースになりました。日本の野球に馴れた身には「GMって何をする人?」という感じでしたが、その彼はフランコナ監督を招聘、カート・シリング投手やディビッド・オーティス選手らを獲得して、2004年にレッドソックスを86年ぶりのワールドシリーズ・チャンピオンに導きました。

シーズンが終わればトレードや契約、補強にドラフトその他すべてGMが主役です。新聞では「テオがこう言った、ああ言った」「テオはこう考えている」と毎日のように報道します。フィールドのゲームでは監督が指揮をとりますが、オーガニゼイションはGMが総指揮官なのだな、やりがいがある仕事だなと思いました。

ファイターズが資金が限られた球団であり、様々なデータを元にチーム作りをしていると知った時は、もしかしてマイケル・ルイスの「マネーボール」を参考にしているのかなと思いました。オークランドAズのチーム作りについての本で、他のメジャーリーグのチームにも影響を与えた本です。

私はファイターズとイーグルスのCSを別の観点から、大変おもしろいシリーズだと見ていました。イーグルスの野村監督中心のフィールド内外の話題やその指導方針と、もう一方のファイターズのチームとオーガニゼイションが実に対照的だったからです。後年もし、日本の野球が「野球」から「ベースボール」に変わった時という考察がなされたとしたら、ファイターズというチームが日本のモダーンベースボールの先駆けだったと言われるような気がしています。
Posted by 西 at 2009年11月19日 22:52
こんばんは。

白井さん。

興味深く、学ばさせていただきました。

去年の年末の講演会で実感したつもりが、改めて学びました。
ファイターズらしさのことです。

自分で、一番危惧していたのは、06年から07年の野球がなくなってしまうのではないかということでした。

今も確固としてあることを納得いたしました。

ありがとうございます。

梨田監督、白井監督、だれでもこだわらなくてもいいと思いました。

白井さんの生の声(見解)、説明が好きです。

白井さんは、今のまま、ファイターズの野球に接していただきたいと思います。
自分は、いつまでも、草野球と札幌ドームのファイターズの野球を体感したいと思います。

白井さんとこうして交流できることに深く感謝いたします。
軸移動の打撃をこの冬に体得したいと思います。
4年ぶりに、草野球で捕手ができて、内股に力が入ってだいぶ自信を持てました。でも、投手がそれ以上に、すばらしいストレートを投げてくれたので、そうなった思います。

これからもよろしくお願いいたします。

めちゃぶりは、意識してできませんが。
Posted by マッキ at 2009年11月20日 21:36
白井さんこんにちは

自分はその近くの小学校で教員をしています。
昨日の資生館小学校の講演に行かせていただきました。
たいへんよかったです。

特に
・ミスしたときにほめる
・準備をすることで、悪い緊張感から解放される。

早速、若い同僚や家族に伝えました。

コーチングの本などを読んでわかってはいたものの、
やはり実績を残した方の生の声は説得力が違います!

私たち教員が陥りやすい失敗は、唯我独尊になってしまうことです。
改めて、自分が子どもの立場なら、どう接してほしいか、声をかけてほしいかを考えさせられました。

お話していただいたことを、
職場に、家庭に、しっかりとフィードバックしていきたいと思います。

自分は香川(引田町)出身です。
しかも東京の大学を経由して、札幌にいるあたり
勝手に白井さんや前オーナーと重ね合わせています。
これからも、がんばってください。
もちろん、ファイターズもしっかり応援に行きます。

講演、行ってよかったです。
ありがとうございました。
Posted by tyounatogi at 2009年11月21日 13:52
 白井さんや、今のファイターズでいうと吉井コーチのように日本と米国、両方の野球を見た方がどんどん発言し、周囲が耳を貸すようになれば、日本の野球は米国の野球よりある意味でよくなれるのでは、と思います。

 白井さんは米国の野球がすべてにおいていいというご意見ではないと思いますし、米国のいいところと日本のいいところをうまく統合できれば、米国式が一番と信じて疑わない米国の野球界より、発展の可能性があるように思えるわけです。バレンタイン監督やヒルマン監督は日本野球のいいところ、問題なところ、双方を指摘していました。

 野球だけでなく、いろいろなところで、欧米は平均的に(個人ではいろいろですが)欧米式が一番進歩している、という信仰が強いので、伝統的な思考・価値をもちつつ、欧米に学ぶ姿勢を持てる非欧米諸国は、従来の殻を破って新たな道を模索しやすいように思えます。といっても、なんであれ、「従来」の壁に立ち向かうのは勇気と辛抱が必要ですが・・・。

 我らがファイターズが、いろいろな意味で日本の従来の野球スタイルに一石を投じているとしたら、そこに至るために苦労した方々に敬意を表しつつ、ファンとしてはとても素敵で誇りに思えます。
Posted by Keep going ! at 2009年11月21日 23:26
3連休で、つい、GMになったつもりで、5年後のスタメンを考えてしまいました。

4賢介
7ひちょり
8糸井
5中田
3小谷野
9稲葉
DH高橋
2大野
6加藤

投手????
Posted by マッキ at 2009年11月23日 04:14
やはりGMは長期的なチームつくりに欠かせないませんね。
白井さん。ぜひファイターズのGMになってください。
監督の白井さんも見てみたい気はしますが・・・

どうでしょう?監督3年やってその後GMを定年まで・・・

と、個人的な願望を書いてしまいました(笑)
Posted by 横浜ファイターズ at 2009年11月24日 17:55
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