野球のこと

2008年08月29日

今回は短期決戦におけるゲームマネージメントについて、
私なりの意見を述べさせていただきます。
これは今回のオリンピックに対しての意見ではなく、
短期決戦における戦い方に対して、
私のなりの見解を、私見として記すものです。

3 短期決戦におけるゲームマネージメント
まず選手起用については、今現在好調で、
勢いのある選手を重点的に起用することです。
短期決戦において、
すべての選手が調子のピークをあわせることは難しいと思います。
また、短期間で調子を上げたり、
気持ちの切り替えをすることも同様です。
そして、代表チームは優秀な選手の集合体ですので、
どの選手も能力が高く、固定する必要がないことも理由の一つです。
長いシーズンを戦うチームでは、
主力選手はある程度固定し、
調子の波に左右されることなく使い続けることが大切です。
モチベーションを高め、信頼関係の構築のために、
人心掌握することは重要です。
特に結果の出なかった次の試合に、
必ず起用することで、信頼関係を築き、
また一日も早い立ち直りを促すのです。
このことは理解していてもできないことが多いのです。
それは、目先の勝敗にとらわれて、
長いシーズン全体をマネージメントできないことがあるからです。
しかし、短期決戦、特に大会終了後に解散するような代表チームでは、
もっとも好調な選手を起用し、
またチーム状況に応じて
選手の特長を生かすことを最優先して起用することが大切です。
チーム状況に応じた選手起用で、
モチベーションが上下するようでは代表選手としての資格がありません。

作戦、戦術に関しては、
普段以上に試合の流れを重視する必要があると思います。
試合の流れをどのように作り、
その流れをどのようにキープし、
また流れが悪いときにどのように変えるかを、
意識することが大切です。
今チームがどのような状況にあり、
試合の流れがどうなっているのかを的確に判断し、
その流れに応じて作戦、戦術を使い分ける必要があります。
たとえば流れがあるとき、
試合をリードしているときには、
セオリーどおり、確率の高い作戦、戦術で、
確実に試合を進めることです。
リードしているときほど、攻撃面では積極的になりがちですが、
このようなときほど慎重さが必要です。
また守りでも、できるだけ安全策をとり、
確実にアウトカウントを積み上げていくことです。
流れがあるとき、リードしているときには、確実なプレー、
堅実なプレーが得意な選手を起用するのです。
バントの失敗や、エラーなどは
試合の流れを大きく変える可能性が高いのです。
逆に流れが悪いときには、
積極的に動きを作る必要性を感じています。
大胆な作戦や戦術で、試合に動きを作ることです。
ヒットエンドランや盗塁を積極的に使うことや、
相手の意表をつく作戦、ギャンブルも有効になってきます。
また守りでも、大胆なバントシフトや、
極端な守備隊形で、相手のチャンスの芽を摘むことです。
守りながらも攻撃的、積極的な守備で、
試合の流れを変えることができるのです。

試合の流れによって、作戦、戦術の使い分け
そして状況によって選手の特長を生かせる場面での起用は、
短期決戦の鉄則だと思います。
代表チームでは、
チームコンセプトの徹底、浸透には時間が足りないことは事実です。
だからこそ、適材適所での選手起用が求められ、
作戦、戦術に応じた、流れに応じた使い分けは大切です。
また、データ分析と活用により、
外から見たらギャンブルになるような作戦でも、
実は確率の高いもを採用することができます。

試合の流れは一瞬にして変わり、
流れをつかむことが勝敗を分けるといっても過言ではありません。
また試合だけでなく、チームにも流れがあり、
試合やチームの流れに応じた作戦、戦術、選手起用が、
短期決戦により必要なゲームマネージメントだと考えています。
リスクは小さいがリターンも小さい、
リスクは大きいけれどリターンも大きい。
このリスクマネージメントがゲームマネージメントともいえます。
たとえ、リスクが大きくてもそのリスクを限りなく少なくするために、
選手起用とデータ活用があるのです。
究極はローリスク、ハイリターンであれば最高なのです。



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この記事へのコメント
また感心しながら読ませていただきました。
とても勉強になります。
ところで、白井さんが今まで経験してきた試合でのギャンブルの中で、1番印象に残ってるギャンブルはどんなものですか?
機会があれば教えてくださいね。
Posted by ken at 2008年08月29日 21:22
お疲れ様です。

「なるほど!」とうなずきながら読ませて頂きました!
短期決戦における選手起用、凄く勉強になりました。
本当にただただ感心です!
Posted by ハム之進 at 2008年08月30日 03:40
今回の指摘を、例えば、1回目と2回目の日本シリーズの比較で
説明していただけたらと思います。
特に、昨年、初戦を取りながら4連敗(しかも最終戦は完全試合)
したのは、何がポイントだったのか、流れを呼び込もうと何を試みた
のか、さしつかえない範囲で解説していただけたら、と思います。
Posted by モト at 2008年08月30日 15:52
白井さん、こんにちは。
とてもわかりやすい解説をいつもありがとうございます。
今回オリンピックで野球は終わってしまいましたが、またいつか野球が競技種目に入った時にはアマでやって頂きたいなと思いました。
オリンピックの為に4年頑張って準備をする全ての競技の選手に失礼だと思うからです。
ところで、ファイターズは今年被弾が多過ぎると思うのですが…もちろんいうまでもなく、ファイターズが現在この位置にいれるのはピッチャーのおかげです。
ただ、同じチームやバッターに被弾する事が多いと思います。なぜなのでしょうか。
また同様にバッターは特定のピッチャーに何度も何度も負けます。これもなぜなのでしょうか…
白井さん早く帰ってきて下さい…
Posted by ハムハム at 2008年08月30日 16:38
日曜日のSTVラジオに聞き入ってしまいました。「緊張」についての話、以前にも中継の解説で少し聞いたことがありましたが納得させられる説明、あらためて勉強に成り、子供たちのスポーツにかかわっているので
そういう場面がきたら指導につかわさせて頂きます。
自分も野球をやっておりましたが経験論も必要ですが、個々の性格、特徴が生かされるようなアドバイスで子供たちがそのスポーツをもっと、
もっと好きになって心身ともに成長してほしいと思います。
今後も勉強させて頂きます。 

                  
Posted by SHIN at 2008年09月02日 17:36
いつも見ております。
本当は、白井さんのような方は日本代表監督になるべきだとずっと思っております。勝手に自分のブログに名前を挙げております。
いつか、どこかで必ず監督をやってください。もちろん、監督だけがマネジメントではないので、いろいろ活躍する姿も良いと思いますが。
Posted by シグナル at 2008年09月02日 23:11
五輪選手の多くが、帰国後、活躍してますね。昨日のダルの快投は見事でした。
それで気づいたのですが、五輪惨敗の大きな要因は、球(ボール)の違いもありませんか。(今さら言っても仕方ないけど)
最高水準のプロであれば、球の大小や感覚の微妙な違いでも、ピッチングやバッティングに影響しますよね。
少し大き目の試合球が、直前練習段階で、20球しか用意されなかったという段階で、準備不足・情報不足の感は否めませんでした。
Posted by モト at 2008年09月03日 17:26
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